「敗北者 〜飛翔〜」
「オリヒカ・・・?よく無事だったわね・・・」
ホエールキング内でずっとこんな台詞を聞き続けているオリヒカ。
これで何回目かは知らないが、そう聞いたのはセリア・フィレーナであった。
「はぁ・・・あなたに撃墜された時よりも軽いケガですから。」
味方に撃墜される。普通に考えればとても不可解な台詞である。
しかし、このセリアという人物は普段の言動こそ丁寧だが、一度戦場に出れば敵味方の見境がほとんどなく、武装した機獣全てを片っ端から
打ち落としてしまい、以前オリヒカも撤退しようとしたことで彼女の逆鱗に触れてあやうくコックピットを貫かれる寸前であった。
シアンドが反乱を起こした後、大幅にメンバーチェンジがおこなわれた時オリヒカは彼女とだけは同チームになりたくないと願ったがそれは叶わなかった。
「あらぁ・・・そんな昔のことをいつまでも引きずっていてはいけないわよ・・・」
よくも悪くもこの騎士団のメンバーはそんなキャラばかりである。
「作戦の確認を行う。敵の輸送艦は合計10機。各班目標は1機ずつ、共和国の護衛は相手にしなくて良いぞ、あくまで本隊の援護が目的だ、あまり頭に血を上らせるな!」
ガーランドがそう掛け声を上げると騎士団員は出撃していった。
そして時を同じくして、共和国の部隊の一つでも戦闘士気が高められていた。
隊長らしき人物が演説を説いているその集団の中に、シアンドの姿はあった。
そして彼は隣の若い女性から話し掛けられていた。
「今回はシアンド殿の指揮で動かせてもらいますが、私の目的は優先させてもらいます。」
そんな問題がありそうな発言をしている女性はティアナ・ユーグン。
かつて白いロードゲイル(オリヒカ)に帰艦途中に襲撃され部隊長であった人物を、愛機であるバスターイーグルごと目の前で撃墜された人物である。(わからない人は3話を読もう(爆))
「シアンド殿もあの亡霊ゾイドとは何かしら因縁があるのでしょう?ならばお互いの利害関係は一致しているはずです。」
ティアナはそう言い切ると愛機であるバスターイーグルの方向へと去っていった。
「あいつの本質はオリヒカと同じか・・・しかし、今回騎士団も来るだろうな、極上の餌を用意したのだから・・・」
シアンドはそう呟くと自らの愛機であるロードゲイル“フードゥル”の元へと向かった。
共和国が守り、帝国が破壊しようとするコンテナを積んだ輸送用大型ゾイドが数機、その空域に入った時。
戦闘開始を告げる重い銃声が響き渡り、一瞬の静寂の後、両軍の機獣の瞳に殺意という名の炎が宿り、兵達の魂も燃え出した。
「シアンドはいるのか!?・・・それに、俺の体は本当に大丈夫なのか!?」
「大丈夫かオリヒカ?セリア君達の砲撃を合図に全機体、先程のガーランド団長の作戦通りに行くぞ!」
「了解した!」「了解・・・」「了解です!」
ジョーカーの合図に各々が答える。
「えぇい、わからんことは後回しだ!俺はこの戦いを生き残ってみせる・・・」
「それでは、いくわよ、皆、当たらないでね」
セリアはその一言を言い終わるとサウォックゲイルの両腕のガトリングを一斉発射させた。
「よし、砲撃班はそのまま!こちらも出撃するぞ!」
「了解した、オリヒカ、出るぞ!」
そして、騎士達は戦場へと飛び立っていった。
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