ZAC2102年4月チェピン
この帝国軍最大の要塞では数ヶ月前にわたる戦闘で混乱、疲労してしまった各部隊の再編成が行われていた・・・
・-プロローグ
「だいぶん再編成が完了しましたね」
「ああ……」
見るからに生真面目そうな年若い士官が、厳格そうなまだうすい金色がかった白髪の将校に話しかける。
その若い士官、“アルベルト・オング”中尉は帝国軍きってのエリートである。
「このような戦争、いつまで続くのでしょうか……」
アルベルト中尉の問いに白髪の将校“シャルル・オルレアン”大佐は答える。
「それを終わらせるのが我々の役目だ……」
それは、長く続いた戦いで疲れ果てたのような声であった。
「ここは冷える…基地に戻るぞ」
そう言うと二人は監視塔から基地へ、ゆっくりと戻っていった。
これから起こす自分達の行動を深く思い締めながら。
・
24時30分帝国軍サムダ空軍基地
ここに一機のグスタフが到着した。装甲には共和国のマークが、後方のキャリアには黒く塗装された二機のゾイドが積まれていた。
そのコックピット内の兵士はその二機のゾイドについて会話をしていた。
「しっかし・・・黒く塗っただけなのに、まるで最初から帝国で開発されたみたいですね。」
「まあ、そうだな、こんな事が出来るなんて数ヶ月前には考えられなかったからな。さぁ、早くこいつを格納庫へ運ぶぞ。」
ゲートをパスして格納庫へ向かう、その雰囲気は和やかであった。
それからすぐ後、基地正面ゲートに軍用車両のクラクションが鳴り響いた…
「もうグスタフは先にいっちまったかぁ、なぁ君、ここを通してくれないか?」
その青年は気さくに門番に話かけた。
「うっかり寝過ごしちまってね…どうやら隊長、知らなかったみたいで先に行っちゃったみたいなんでですよ」
その青年は人懐っこい頼み方をする。
「共和国の技術者の方ですか?」
「ええ、もっちろん。この服装のとおりですよぉ。まさか疑ってるんですかぁ?」
「いえ…そんなことは……解りましたお通り下さい。」
「いやぁ、すまんねぇ。さっ、急がないと」
そうやり取りを終えると車両は基地の方へと向かっていった。
基地の格納庫内では、基地指令と共和国の指揮官がついさっき搬入されたばかりの、二機のゾイドの前で話し合っていた。
「こんな物を共和国から貰うことになろうとは、それにしても、まぁた、どえらい機体だ。」
この基地の指令官が少し嬉しそうな顔をしながらその機体を見上げていた。
「ストームソーダーST(ステルスタイプ)隠密機能を有し、なおかつ運動性能を上げた改良機です。」
共和国の指揮官が帝国の基地指令に話す
「こんなにすごいゾイドを提供して、本当に良いのでしょうか?」
「なぁに、構いやせんよ共和国と帝国の、いわば和平の証ですよ。」
そう話す二人の顔は、やはり和やかだった。
ついさっき正面ゲートを通った技術者を名乗る金髪の青年はバックミラーをのぞきながら、煙草に火をつけたていた。
「もういいですよラルフ少佐、」
誰もいないはずのシートに話し掛けると
「こうも簡単に進入できるとは帝国のセキュリティも落ちたもんだな、まったく、こんな事だから共和国に技術提供など受ける事になるんだ。」
そう不満を言いながら車の荷台に隠れていた帝国空軍軍服を着た男、“ラルフ・ベルトラム”少佐が金髪の男“ミューラー・ビットナー”中尉に話しかける。
基地内に進入した二人ラルフとミューラー、彼らはかつて帝国空軍きってのエリート部隊と呼ばれたアイゼンベック部隊員。
彼らはその部隊の隊長とその部下だった。
だがそれは共和国の本土上陸の際、解体された部隊である。
「これで我らが部隊の復活も、時間の問題ですね。」
「ああ、あの機体で共和国に汚された帝国を粛正する!そして、かつての清き本土を取り戻してやる、これは裁きの時間だぞ、ミューラー!」
ミュラーは不適な笑みを浮かべると煙草を車両の外に捨て、通信機を取り出した。
「了解、こちらブラックエンジェル、ナハトクルークオーバー」
「こちらナハトクルーク、了解、攻撃を開始します。」
その通信を聞き、三機のブラックレドラーがサムダ空軍基地上空に飛来、基地への爆撃を開始した。
「くそう、一体どこの部隊だ!?」「識別不明です!」「ちいっ迎撃隊をだせ!!」「急げレドラーを出撃させろ!!」
格納庫では整備兵やパイロット達が慌てて走り回る。
三機のブラックレドラーの奇襲で混乱しつくしている。
空軍の仕官服を着た男がストームソーダーのハンガーへと走って行く
「スクランブルだ!ストームソーダーを出撃させる!!」
「何・・・?待て!そんな命令聞いてない!うわぁっ!?」
ストームソーダーが発進した際起きた衝撃波でで数人の整備兵が吹き飛ばされた。
「この機体は貰ってくぞ、ふふ…ごきげんよう、間抜けな諸君!」
「指令!ストームソーダー二機が強奪されました!」
「なんだと!?くぅっ、さっきのレドラーは囮ということか!?」
基地指令は歯がゆい思いで奥歯を強くかみ締めしめるあまり、流血をしていた。
「やりましたねこれでアイゼンベック部隊の復活ですよ!」
パイロットの一人がかつての部隊の復活を興奮しながら喜んだ
「ああ、こいつで共和国の連中を叩き潰してやる!」
「ミューラー中尉!ラルフ少佐!後は我々にお任せ下さい!」「了解!」「元より覚悟はできております!」
そう言うとブラックレドラーはサムダ空軍基地へと全速力で向かっていった。
轟音が響くと、そこに断末魔は無く、煙を上げ、基地の残骸と共になったレドラーがあった。
ただでさえステルス能力の高いストームソーダーであったが、この自爆により、この基地から追尾、補足することは完全に不可能となった。
「貴様等の犠牲は無駄にはせんぞ、我々は必ず大儀を果たす…行くぞミュラー」
そして二機のストームソーダーは漆黒の闇へと消えていった。
ZAC2102年・・・この時より“彼ら”の計画は進行されて行くこととなる・・・
後書き
この度は ヴォルフ氏 原作の「ゼネバスの亡霊」を書き直させて頂きました。
まぁ、自分の考えとしては彼の作品も良いんだけれど、俺ならこうする!っていう方向で進めてます。
よって、書き足したり展開を変えてみたり・・・目標は三部構成です。
記念すべき一回目である今回、大きく変更したのは最後のレドラーの扱い。
本来ならミュラーとラルフがステルス機能の邪魔になる味方を切る・・・というアニメで見たことある展開なんですが、
それって何かおかしいな。ってことで自爆に変更。
職業が軍人であるゼネバス軍、事前にレドラーがいればステルスの効果が薄れるぐらい百も承知のはず。
そこで「大儀ある」彼らの信念を手軽に(ぉ)表現するため、自爆にしてみました。
ちなみにヴォルフ氏のHP「シャンパンゴールドR」にてキャラ設定などが観覧できます。
えっ?この時オリヒカとかは何してたんだ、だって?
・・・きっとシアンドあたりはこういう計画の立案とかには重役で関わってるんだろうなぁ、純ゼネバス血統だし。
でもオリヒカはどうだろう、名家とか以前に戦争孤児だし。
きっとゼネバスの乱で敵味方に別れ、死んでいった仲間の悪夢を見ているに違いない(ぇ