「敗北者〜出撃前〜」
「オリヒカァッ!やはり貴様だったかぁ!」
「シアンド!?・・・えぇい、二度もやられてたまるかよお!!」
「で、またやられて・・・よく生きて帰ってこれたわねぇ・・・」
医務室でリアはオリヒカの治療をしながらそう小言を浮かべていた。
「・・・うるせぇよ・・・」
「あぁ、もう!勝てない勝負はしないんじゃなかったの!?」
「・・・」
「・・・もう知らないわよ!」
そういってリアはオリヒカの背中を叩いて医務室を後にした。
勝てない勝負・・・前回負けた相手にそう簡単にやられないとは思っていた・・・
まさか自分が生きてることを予想されてるなんて予期せぬことだ
不意をつけると思っていたのに、逆に不意をつかれた・・・
自分の親変わりであり、かつての上司である人物には、勝てないのだろうか・・・?
〜共和国帝国連合軍ホエールキング内〜
「シアンド隊長殿、ごくろう様でした。」
ゼネバスを裏切ってすぐ、シアンドは共和国の特務小隊の隊長の任についていた。これはかつてのガイロス帝国内での信頼が厚かったからである。
「あの白いロードゲイルを撃墜したようでございますね?」
「あぁ・・・だが、あの白いの、まだ生きてるやもしれん・・・そうだとしても、また落とすだけだがな・・・」
シアンドは自分の機体である黒いロードゲイル“フードゥル”を見上げながらそう言った。
その瞳には、ゼネバス討伐隊の一員として、決意を秘めた炎が宿っていた。
「どうしたリア?オリヒカはちゃんと生きてたか?」
ため息まじりに歩いてきたリアにガーランドはそう聞いた。
「知らないわよ、あんな奴!」
そう叫ぶのも早かったが、同時に パァン と言う乾いた音が廊下に響いたという。
「うわぁ、どうした隊長?その左頬の手形は?」
医務室に入ってきたガーランドにオリヒカは何があったか解りながら質問してみた。
「ちっ・・・貴様の考えてるとおりだ・・・」
やっぱりな、と先刻まで沈んでいた青年は微小した。
「リアに思いっきり傷口叩かれてな・・・なんかもう落ち込んでる暇が無くなったよ・・・機体整備してくる・・・」
そう言うとオリヒカは医務室を出て行った。
「って言っても整備班が完全修理してくれてたのか・・・しゃーない、戦闘プログラムに今回の戦い方入力しとこう・・・」
三日後、騎士団に新たな任務が降りた。
「内容は簡単、共和国の輸送中の新ゾイド二種類の破壊だ」
「二種類?たった二種類で良いのですか?」
特務師団に依頼するにはあまりにも小規模な任務だと誰しもが思った。
「まぁ、上のやつがそう言ってるんだ、ちゃんとやろうじゃないか。それじゃ、いくぞ。」
「オリヒカ、撃墜されたのによく出撃できますね。」
オリヒカは仮面の青年(?)ジョーカーに話かけられた。
「リーダー、心配してくれるのか?」
「あぁ、僕はそんな冷たい人物に見えるのか?」
仮面をかぶってるんだからそう見えても仕方ないだろう・・・?そう言いたがったが、やめておいた。
「で、あとのメンバーは?」
「先にホエールキングに乗り込んだ・・・僕らも行こう。」
オリヒカはふと考えた。三日前シアンドに撃墜されて、よくは覚えていないが大怪我を追った。
あんな上空から落ちて、かすり傷や捻挫ですむわけがない。確実に機械類が体を貫いたり、骨折していたはずなのに今はもう何ともない。もしかしたら見た目の割りに浅い怪我ってやつだったのかもしれないな。面倒だからそうしておこう。そしてオリヒカはホエールキングに乗り込んだ。
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