ゼネバスの亡霊・参(改修版)
原作:ヴォルフ氏
 


 ZAC2102年4月二十三日、日が沈む頃遂に最悪の事態が起きた、ゼネバス残党とガイロスヘリック合同部隊両軍が衝突した。
 
 数こそ少ないものの士気は高いゼネバス軍と、数で勝る合同部隊。
 相反するその二つは一進一退の攻防を繰り広げていた。

 『敵は数が少ない包囲して占滅しろ!』
 規律の取れた帝国軍の砲撃に次々と撃破されていく、しかしゼネバス兵も勇敢だった確実に敵部隊の数を減らしていく。

『おうおう、ありゃあゴジュラス様だ、その首もらったぜい!』

 ゼネバス軍 マーティン・イェリネック軍曹。

 今ゼネバス軍の中で撃墜数を上げ続けている彼はそれなりの戦果を上げながらゼネバス出身であるため、新鋭機はなかなか与えられず、昇進も他の者より遅れていた 。

 が、今、彼はレッドホーンBLをスコルッツェニーから与えられ、まるでプレゼントをもらった子供のように上機嫌だった。

『おらおら共和国軍てのはそんなに腰抜けだらけなのか?』

 マーティンの部隊は長年のカンと経験を生かして共和国軍を手玉に取っていた。

『クソッタレが!なかなかやってくれるじゃあねぇか!』

『少佐、このままでは我が部隊は!』

『ああ!分かってる!だから、俺が前にでる!』

『ええっ!?無茶苦茶ですよ!いくらゴジュラスでも!!』

『バカかおまえは!?今の俺達の部隊は新兵ばかりなんだぞ!あんなベテラン共が相手じゃあいつ等かないっこねぇだろ!!』

 フォルトニーのゴジュラスは全速力で前線へと向かっていった。

『ゴジュラス様がしびれを切らしてようやく前に出たか・・・相手にとって不足はない!』

マーティンのレッドホーンはゴジュラスへ攻撃を仕掛けた。

『効かんなぁ、ゴジュラスの装甲を甘く見るなよぉ!』

 そう言ってフォルトニーのゴジュラスはレッドホーンに照準を合わせた。

『あの指揮官機めぇ・・・一発お見舞いしてやるぜ!』

 響渡る轟音と共に二門の砲頭が火を噴いた、必ず当たる。そんな間合い。

 直撃すればアイアンコングすらひとたまりもないだろう、だがレッドホーンは無傷だった。

 間一髪でかわしたのだ。それは、神業の域と言っても過言では無かった。

『なんだと!?この間合いでかわしたのか・・・なるほど、面白い!!』

『なめるなよ、コイツはただのレッドホーンとはちがうんだよぉ!』

 マーティンのレッドホーンは一気に間合いを詰めたそしてゴジュラスの左足にクラッシャーホーンが深々と突き刺さった。

 それは結果としてゴジュラスのバランスを崩し、そのまま隔挫させた。

 このままコクピットを撃ち抜けば!

 レッドホーンは少し距離をあけビームランチャーの照準をコクピットに向けた。

 だがビームランチャーが発射されることは無かった。

 フォルトニーがレッドホーンにヘビーマシンガンを発射したのだった。

 さすがのレッドホーンも至近距離でこの攻撃を受ければひとたまりもない。

 レッドホーンのコクピットは完全に砕けパイロットの遺体を確認するのも難しいぐらいだった。
指揮官を失い浮き足立った敵部隊をケイン中尉のディバイソン隊が次々と撃破していった。


『くくくくく・・・・・・俺は運が良いようだ・・・・・・ガロス!ここで死んでもらうぞ!』

『!!こいつ・・・なぜ俺の名前を!?』

 マイヤー・スコルッツェニーとガロス・バルツァー・ルートヴィッヒ。

 彼らは士官学校時代の同期であった。

 しかしゼネバス血統であるマイヤーを、ガイロス血統でエリートであったガロスが知るはずも無かった。

『貴様は俺を知らないだろうが、俺は貴様を知っている!!』

 マイヤーのライジャーはすさまじい勢いでガロスのダークホーンに向かって飛びかかっていった。

『貴様は知らないだろう!俺たちゼネバスがどんな差別を受けてきたか!』

 ライジャーーの爪が、牙が、ダークホーンに襲いかかる。

 ビームランチャー、ガトリング砲。ガロスのダークホーンを象徴する背部の装備がライジャーとすれ違う度に破壊されていく。

『我々を滅ぼした貴様らも!この時をもって最後にしてやる!』

『…私は、まだ…死ぬわけにはいかない!』

 ガロスは一旦前線から引き、体制を立て直そうとした、
 しかし、 その時上空から何者からかの攻撃を受ける。

『ストームソーダーST(ステルスタイプ)!?奴ら、やはり実戦配備したか!』

『スコルッツェニー少佐、苦戦しているようだな援護する。』

『何を抜かすか!援護などいらんわ!』

『そう言う訳にもいかんだろう?バカなことを抜かすな。』

『ちっ、勝手にしろ。』


『はぁっはっはっはっは!逃げろ!逃げろ逃げろ逃げろ!!』
 自分たちが優位なこともあり、ミュラーはかなりの興奮状態にあった。

『ミュラー、あまりはしゃぐな、油断していると足下をすくわれるぞ!』

『分かっていますよ、少佐ぁ!』

 ラルフのストームソーダー率いるアイゼンベック隊とスコルッツェニーの部隊が帝国軍に攻撃を仕掛けていく。

『ガロス中佐!モルガ隊が敵飛行ゾイド部隊に阻まれて苦戦しているようです。』

『ちっ、対空砲を装備した機体があれば・・・イグアン隊を向かわせろ。』

『余裕だなぁ、ガロス!だが、貴様の相手はこの俺だ!』

『くっ・・・』

 ガロスはその一瞬に神経を集中させ、紙一重の回避を繰り返していた。

 武装を破壊されたことが逆に機体の軽量化になり、回避力を上げているのだ。

『このまま戦闘が長引くとまずいな・・・』

 いくら善戦しているとはいえ、モルガが、イグアンが次々と撃破され行動不能になっていく戦況は過酷を極めた。

『へっ、名師団として名高い第四装甲師団もコイツがあれば形無しか、どうだ性能を思い知れ!』

『ゾイドは強い意志で操るものだ性能が全てではない!』

『誰だ!?』

 そうしている内に一瞬にして二機のレドラーが紙切れのように切り裂かれた。

『こちらは第31防空戦闘大隊所属カイ・レイヤード少佐だ貴官の部隊を支援する!』

『ガロス中佐だ貴官の支援に感謝する。』

カイの赤いストームソーダーには彼のパーソナルマークである鳳凰のエンブレムが左翼にペイントされていた、

『なめやがってぇ・・・』

 ミュラーのストームソーダーが後ろを取ろうとする。

 カイの部隊のレイノスの一機を追尾するだがミュラーは忘れていたその先に共和国軍がいることを。

『待ってたぜ!』

 容赦ないディバイソン隊の砲撃にミュラーのストームソーダーはボロ布のように撃ち抜かれ正面から地面に激突した。

『ミュラー!くそぅ、奴らなめやがって、』

 ラルフはカイのストームソーダーに接近戦を仕掛けた。
『性能の差を・・・思い知れぇ!』

『どうかな?』

 カイは自分のストームソーダーをラルフのストームソーダーの真上に付けそしてエンジン部を真っ二つに切り裂いた。
ラルフのストームソーダーは空中で爆発四散した。

他の飛行部隊も次々と撃破されていく、そして全滅した。

『まさか、こんな短時間で全滅だと!?』
 スコルッツェニーはそう呟くと自分を狙っていたレッドホーンに攻撃を仕掛け撃破した。
 そして、その隙をガロスは見逃さなかった。

『甘かったな!』

 ガロスのダークホーンはスコルッツェニーのライジャーに突撃した、武装を破壊され、機体重量を減らしたダークホーンは想像より速く、その攻撃を回避しきれずライジャーの動力部に致命的とも言わせる傷を負わせた。

『えぇい、なんで貴様はそんなにも保ったんだ!?・・・くぅ・・・済まない弟よ・・・お前の・・・所に・・・・・・』

 閃光が走る、そして爆発炎上。

「手強かった・・・何機もの味方が犠牲になってしまった・・・」

 ガロスは誰に言うまでもなく、その紅蓮を見つめながら呟いた。

 その直後だった。ボイル大尉から通信が入った。内容は司令部を包囲したという報告だった。

こうして二日間にわたって続いたこの事件は敵部隊の投降という形で幕を閉じた.........


エピローグ

ZAC2102年5月
 ゼネバスに亡命したアルベルト・オングのもとに一通の連絡が入った。
 オルレアンが処刑されたと言うものだった。
 この時彼は言い用もない、怒りと悲しみに駆られていた。
 彼はこの時かつての祖国を初めて怨んだ。

ガイロスを倒す。

ネオゼネバス帝国大尉アルベルト・オングは心の中でそう誓った。

 そして、これは「彼ら」。後に「ネオ・ゼネバス」と呼ばれる戦士らの戦いのほんの序章に過ぎなかった。


   ゾイドバトルストーリーゼネバスの亡霊 終






後書き

 
 記念すべき最終回である今回、大きく変更したのは・・・ほとんど全部(ぉ

・・・恨むのなら刻を継ぐものを作った富野監督に対抗しようとした私の無謀さを・・・

 いやぁ、だってさぁ、凄かったんだよ、凄すぎたんだよ・・・

 だから今回は削るわ変えるわの繰り返し。
 ヴォルフさんお許しを m(_;)m

 ダークホーンVSライジャーはもっと書きたかったのを無理やり抑えたので変な感じに。
・・・いや、実はセイバータイガーをライジャーに変更ってのも本人の許可とってなかったりw
 こういうのんって番外編で理由付けしようかなぁ・・・

 その時は結局出来なかった自分のキャラとの競演を(以下略


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